天井吊形エアコンとはどんなエアコン?業務用エアコンの選び方
業務用エアコンにはさまざまな種類が存在しますが、その一つに天井吊形エアコンがあります。汎用性が高く、採用されやすい人気の種類ですが、どのようなところが人気なのでしょうか。
今回は業務用エアコン選びに悩んでいる方のために、天井吊形エアコンがどのような業務用エアコンなのかを解説します。
天井吊形エアコンとは
天井吊形エアコンは、業務用エアコンの中でも設置しやすく風量も強いため、多くのオフィスや施設で使用されています。
ここでは、天井吊形エアコンの特徴やその他の形状との違いなどを確認しておきましょう。
・天井吊形エアコンの特徴
天井吊形エアコンは、天井から室内機を吊り下げて設置するタイプの業務用エアコンです。天井の表面に設置するため、天井裏が狭くエアコンを埋め込むスペースがない場合も設置できます。また空調を整えるスピードが早く、静音性にも優れているため学校やオフィスでもよく利用されています。
・他形状室内機と天吊形では具体的に何が違う?
<施工しやすい>
天井吊形エアコンは施工のしやすさが魅力です。天井埋込形と異なり、天井に大きな穴を開けずに設置できる場合が多いため、後付けでも容易に設置工事が行えます。比較的短時間で設置でき、追加工事が発生しにくいため、取り付け工事にかかる費用を抑えたい場合におすすめです。
<オーバーホールやメンテナンスしやすい>
オーバーホールやメンテナンスがしやすいことも、天井吊形の業務用エアコンのメリットです。室内機が天井や壁などに埋め込まれていないため、状態の確認や部品の交換、清掃などがしやすいという特徴があります。専門業者に依頼すれば、ファンやドレンポンプを取り外してメンテナンスを行うことも可能です。
・デメリット
<室内機高さは25cm程度あり圧迫感がある>
デメリットは、天井が低い空間に設置すると圧迫感を感じやすいことです。天井吊形の業務用エアコンは、室内機の高さが25cmほどあるため存在感が強く、取り付けが終わった直後は空間が狭くなったように感じやすいでしょう。
天井吊形エアコンの導入に必要な費用相場
天井吊形の業務用エアコンを導入する際には、本体価格と工事費用を併せて検討する必要があります。費用相場をあらかじめ確認して、必要な予算を立てておきましょう。
・工事にかかる費用
<必要になる工事>
取り付け工事では、まず設置箇所にエアコンを吊り下げるためのボルトや配管を設置するための穴を開けます。次に固定用の金具などを取り付けてエアコンの室内機を設置します。室外機と配管類を接続し、電気工事後に吸込グリルを固定して完了です。天井埋込形と異なり、小さな穴を開けるだけで設置できる場合が多いため、工事も短時間で終了します。
<工事費用の目安>
工事費用はシングルまたはマルチタイプで異なり、馬力が上がるにつれて価格も上がるのが一般的です。
馬力 | シングル | マルチ |
1.5~2.5馬力 | 70,000円 | - |
3~4馬力 | 90,000~10,000円 | 110,000~130,000円 |
5~6馬力 | 100,000~110,000円 | 140,000~150,000円 |
8馬力 | 140,000円 | 180,000円 |
10馬力 | 160,000円 | 180,000~200,000円 |
天井吊形のエアコンは設置工事も比較的容易なため、工事費を抑えて業務用エアコンを導入したい場合にも検討してみるとよいでしょう。
<発生しうる追加費用>
ドレン配管や冷媒配管の長さが足りないときの延長費用のほか、室外機の高所設置、電気工事が必要になった場合に追加費用がかかります。
・メーカー別の本体相場
<ダイキン>
ダイキンの天井吊形エアコンは、3馬力で250,000~300,000円前後です。天井埋込形と同様に4方向へ送風できるものもあり、豊富なバリエーションから選べます。
<パナソニック>
パナソニックは、3馬力で270,000~355,000円前後です。ロング気流で部屋の隅々まで送風が可能なうえ、人感センサーで直接風が当たらないため、長時間快適に過ごせます。
<東芝>
東芝は、3馬力で210,000~260,000円前後です。優れた静音性を実現しているだけでなく、セルフクリーン機能でメンテナンスの頻度を減らし、省エネにも効果を発揮します。
<三菱電機>
三菱電機は、3馬力で200,000~280,000円前後です。床の温度を自動で検知するムーブアイ搭載で部屋全体に空調が行き渡るため、温度をむらなく整えることができます。
<日立>
日立は、3馬力で200,000~215,000円前後です。風向きのコントロール性がよく、人感センサーで体に優しく快適な空間に整えることが可能です。
業務用エアコンの選び方
業務用エアコンの導入を検討する際には、必要とする馬力や設置場所に合ったものを選ぶことが大切です。以下の項目を参考にしながら、設置したい場所に合った業務用エアコンを探してみてください。
・馬力の考え方
業務用エアコンを設置する空間に必要な馬力は、以下の計算式で求められます。
設置場所の面積(m2)× 算出基準熱負荷(W/m2)= 冷暖房能力(kW)
※約2.8kWで1馬力に相当します。
馬力が足りていない業務用エアコンを設置した場合、空調が利きにくく、電気代がかさみます。算出基準熱負荷は部屋の環境によって異なるため、業者に依頼して必要な馬力のエアコンを選定してもらうとよいでしょう。
・設置場所を考える
業務用エアコンにはさまざまな形があり、設置場所によって適しているものが異なります。また、部屋の中に設置する室内機だけでなく、室外機を置くスペースも考えておきましょう。どちらもメンテナンスがしやすいように、作業スペースも含めて検討しておく必要があります。
まとめ
天井吊形の業務用エアコンは、取り付け工事が簡単でメンテナンスをしやすいことから、多くの施設やオフィスで利用されています。設置にかかる費用も比較的少なく済むため、導入費用を抑えたい場合にもおすすめです。設置場所に見合った馬力などを下調べしたうえで、適切な天井吊形エアコンを選びましょう。